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大学入試改革について② [千春・永澤]

 こんにちは!各学校の期末テストも終わり、続々と結果が返ってくるころとなりました。
 テストの出来具合はいかがだったでしょうか?トゥッティ学習教室では、冬に特別追加個別授業、Eトレなどの講座を用意しています。2学期までの学習で積み残しのないよう、この冬でしっかり復習し、先に進んでほしいと思います。

 さて、今回もまた、先月の個別資料として添付しました大学入試改革の第二弾目の記事を皆さんと共有したいと思います。石川一郎さんの『2020年の大学入試問題』(講談社現代新書)という著書からの抜粋です。ちょっと長いですが、ぜひご一読ください。


「学力の3要素」と3段階の選抜方法
 大学入試問題で、学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を評価するということは、学びの質が根本的から変わるということを意味します。そして、教育再生実行会議や中央教育審議会などの報告書によると、「知識の再生を1点刻みに、一度限りの結果で問う評価からの転換」を行い、学力の3要素に対応し、学びの意欲、人物を重視した評価を目指すということになっています。
 1点刻みの評価からの脱却とか知識偏重という表現は、知識悪玉論にすぐに流れていきますが、そもそもそんな知識論から脱却しようというのが、文科省の狙いです。
 一つの知識という「点」ではなく、そこから広がるネットワーク情報をいかに立体的に関連づけられるか、その関連づけの学びの体験やそれを通して生徒がどう成長したかまで、つまり学びのプロセスを評価する入試問題に大転換しようということなのです。
 一度限りのテストで終わってしまっては、学びのプロセスを見ることができません。また、今までの知識再生型の学びに、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」の学力まで評価するとなると、学びの過程で生徒自身が自分の弱みや強みを振り返りながら、学びの方法を改善していく必要があります。その成長が、学びのプロセスにもなるわけです。
 「赤い風船」の意味は?
 2015年1月、順天堂大学医学部の入学試験で、こんな問題が出題されました。いわゆる一般的な小論文形式の入試問題です。

《キングス・クロス駅の写真です。あなたの感じるところを    img_3cd73b4bfb734800ed26e66ddc65c407616278.png
 800字以内で述べなさい》

 問題の写真というのは、この本の表紙カバーに使用されているものです。写真の中央には、おそらく地下鉄であろう駅の長い階段。日本にはあまりない洞窟のような階段です。
 写真の上の方には、下を向きながら少し暗い駅構内の階段を上り切った長いコートを着た後ろ姿。右下には手すりに結びつけられたような色鮮やかな2つの「赤い風船」が映っています。
 この入試問題は、教育関係者の間で大変な話題となり、さまざまな解釈がメディアを賑わせました。医学部の入試問題ですから、医者の資質や素養のある人材かどうかをみようというのが、大前提だろうということは想像できます。階段の向こうに希望を感じさせるという捉え方もできそうですし、赤い風船にこの男は気づかず通り過ぎていることを何かの象徴と見ることもできる。この男が、赤い風船を巻き付けていったと解釈するのもアリかもしれない。これは正解が一つではない問題です。
 今まで正解が一つしかないような「問い」ばかりが並びがちだったのが、典型的な大学入試問題です。当然、大学合格のためには中学・高校の学び方は知識の暗記が重要でした。「赤い風船」の問題を見たとき、あらためて、大きな転換が近いのだと実感することになったのでした。

知識をスイッチにして思索にふける     
 1点刻みで「知識」の多寡やいちはやく「知識」を引き出せる力を測るテストからの脱却などと言われる一方で、そうは言っても基本的な「知識」が定着していかなければ、「思考力・判断力・表現力」など十分に力を発揮できないのではないかとも言われます。
「知識」ではなく「思考」が優先するのであるか?まずは「知識」が「思考」に優先するのであるか?さあ、どちらでしょうか?
 実は、この「知識」か「思考」かという発想それ自体が、従来の入試制度の枠組み内にある問いの設定です。ですから、この問いの設定自体から抜け出すことが2020年大学入試改革の出発点だと考えたほうがよいのです。
 ではどう考えるのか、どう問いを設定するのかということですが、かのアインシュタインは「イマジネーションは知識より大切だ」と言っています。ノーベル賞作家の大江健三郎さんは東大へ一浪して進学しているのですが、現役で受験したとき、不合格だった理由としてこんなことをいっているのです。「アレキサンダー大王の問題に遭遇したとき、その歴史の壮大な躍動のシーンが一気に想像の世界に広がり、気づいたら問題を解かずに終わっていた。それで次の年は、想像を封印して立ち臨んだら合格したのです」。ここに2020年大学入試改革のヒントがあるのではないでしょうか?「知識」を丸暗記するのではなく、このように、知識をつめた先にある、創造性を伸ばすことの重要性をここから学ぶことができます。


≪冬期講習(12/25~12/29・1/5)の各講座のお知らせ≫
冬期特別追加個別
学校の授業内容が進まないこの冬休みに、2学期の苦手単元復習や、3学期・自学年に向けての予習などを進めていきます。受験を控えた高校生は、入試対策をどんどん先へ進める時期です。ぜひご参加を!授業希望の日時はご相談ください。

読書力養成講座
指定の課題書を読んで意見を述べあったり分析を書いたりして本を楽しく読み込みます。学校の教科書を読むのとは違った読書の楽しみを共有し、読解力の養成を図ります。
Sクラス(中学生3年~高校生対象)Aクラス(小学6~中学2年)Bクラス(小学3~5年)

「英検対策個別コース」(英検5級~2級対象)
実際に英検で出題された過去問題を一日ごとに、問題形式別に演習します。
各問題形式に沿った英検問題の解き方を指導します。

「Eトレ講座」(小学生~高校生対象)
パソコンを使ったプリント学習により、自分の苦手な教科・単元に絞った勉強はもちろん、目的に合わせて、予習や、受験対策にも大いに活用できます。学習において大切な「演習量」の確保にピッタリです。

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