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読書講座(第2回)をおえて [千春・永澤]

冬休みにおこなった読書講座は、長文を集団で音読する子供たちの真剣なまなざしや、
他学年の子供たちが、素朴に感じたことを遠慮なく口にする、何とも楽しい授業でした。

また今回取り上げた2冊については、子供達のみならず、お母様方からも「引き込まれるように読んだ…」という声を多数いただいたこと、大変嬉したったです。

ご両親が好きなものに、子どもは必ず興味を持ちます。そして、自分が好きなことに、ご両親や私たちが
興味をもつことで、「好き!」という気持ちは更に膨らみ、いずれは自分自身を支える力をも育くむことに発展していきます。私たちも上から目線にならず、子供たちと共に読書を楽しみむ気持ちを忘れないぞ…と、改めて思う講習でした。

トゥッティは国語力を育てる事に、これからも力を注いでいきます。
以下に記した、永澤講師のレポートを是非お読みください。             田村千春


こんにちは。 読書講座担当の永澤です。

この冬期休暇中、夏に引き続き、第二回読書講座を開催しました。 物語文コースでは、チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』を、 説明文コースでは、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』を取り上げ、一緒に 内容を読み込んでいきました。

ディケンズの小説は、100年以上前のイギリスで書かれたものです。 そのため、現代日本に住むわたしたちには、少しばかりわかりにくい表現もあったことでしょう。 たとえば、幽霊の話をするとき、話をわかりやすくするため、ところどころシェイクスピアをはじめとする西洋の有名な本からの引用があったり、外国語独特の言い回しなどがあり、少し難しい表現がありました。

とはいえ、お話の本筋自体は、いじわるなスクルージじいさんが幽霊を通じて、自分の生き方を見つめなおすという、とても明快でおもしろい話だったので、みんな楽しくついてきてくれたと感じています。

たとえば、スクルージの前に現れたマーレイの幽霊に鎖がじゃらじゃら巻きついていて、「お前も人にやさしくしないと、俺のようになるぞー」と警告するシーンは、みんな驚きつつも、楽しく読めていたのではないでしょうか。あのシーンには、人が生きていくうえで、直面する教訓が詰まっています。 なぜ鎖が長くなるのか??という問いかけに対し、みんなそれぞれ想像力を膨らませていたと感じています。

次に、説明文コースで取り上げた吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』。 この本は、「あたりまえ」を疑う、ということを説きます。 ふだん、わたしたちは、たくさんの「あたりまえ」に囲まれて生きています。 たとえば、コンビニやスーパーでお金を払えば、あたりまえのように品物を買うことができますね。町にでれば、あたりまえのように警察官がぼくらの安全を守ってくれますし、小学生や中学生は学校へ行くのがあたりまえ、いや、そもそも「学校」という場所があること自体があたりまえのように思えるかもしれません。

しかし、決してそうではありません。

お金を使って、何不自由なく物を買うことができるのは、ぼくたちの生きる世界が基本的には、「資本主義」(分からない人は社会の教科書で調べてください)という仕組みをとっているからです。 もし、資本主義のしくみがうまくいっていなかったり、この社会が別のしくみを採用していたら、ぼくらはお店で物を買うことができないかもしれません。「お金」自体も、いま僕たちが使っている野口英世などが印刷されている「円」のようにうまく社会の中で出回っているものもあれば、ジンバブエという国のお金(ジンバブエ・ドル)のように、人々がお札をゴミ箱に捨ててしまうくらい価値がなくなり、機能しなくなることもあります。また、僕たちの安全はおまわりさんによって守られており、学校では当たり前のように勉強できていますが、よその国を見てみると、「警察」や「学校」というものがない国もあります。ほかの国にないものが、なぜか、日本にはある。

これはいったい、どうしてなのか??

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』では、このような僕らの身の回りにひしめいている疑問や不思議を徹底的に掘り下げていきます。社会の中にある「あたりまえ」をうたがい、その原因や理由を考える方向へ、読者をやさしくみちびきます。

「だからねえ、コペル君、あたりまえのことというのがくせものなんだよ。 わかりきったことのように考え、それでとおっていることをどこまでも追っかけて 考えていくと、もうわかりきったことだなんて、いられないようなことにぶつかるんだね」 (吉野源三郎『君たちはどう生きるか』p87)

昨今、「読解力」というものが、若い世代を中心に低下してきているということが、言われています(といっても、私よりずっと前の世代から言われてきたことですが)。しかし、この読解力というものが実際どういうものなのかを考えると、この吉野源三郎の本に書かれているように、ものごとを「批判的」にみる力を養うだともいえます。

今回、本来は小学校上級生向けにしていた説明文コースには、なんと小3の子が参加してくれました。 その子は、すこしハードな内容でしたが、この本は一回読んでおしまいにしてしまうのは、もったいない本です。
講座に参加していた子は、少し間を置いて、また読み返してください。参加していなかった子も、是非とも手に取って読んでみてください。

また春に講座で会いましょう。

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