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二瓶先生の「言葉の力」 [室長から]



言葉の力                    二瓶弘行  

  温かな春の4月、小学校に入学したばかりの1年生の国語教室。
  小さな子どもたちが、一生懸命に文字を書いています。
  初めて学ぶ、平仮名という文字。
  あいうえお、かきくけこ、さしすせそ…。
  バラバラに並べてみれば、たった四十六個の文字にしかすぎません。
  でも、この文字たちがいくつか集まって、言葉をつくるとき、
  その言葉は信じられないほどの大きな力を持つ存在となります。

   「う・ま・れ・て・き・て・く・れ・て・あ・り・が・と・う」
  この社会で生きていくことがイヤになり、様々な非行を繰り返して警察に補導された子供に
  その母親が手紙で綴った言葉です。
  中学生のその子は、手紙を読みながら、声を上げて泣いたそうです。
  そして、また、人を信じることを始め、
  学校へ戻っていきます。わずか十四個の文字が、彼を救いました。

   「お・ま・え・は・こ・の・よ・か・ら・き・え・ろ」
  このたった十二個の平仮名。何回かキーを叩き、メール送信ボタンを押すだけで、
  相手の手元にあっという間に届く。
  その人が、どんな表情で文字を読むのかを知ることもなく。
  言葉は恐ろしい。その人の心を深く傷つけ、時として、命をも奪うことがある。

  だから、国語教室で、子どもたちは学ばなくてはいけません。
  言葉は、時として人を救うこと。時として人を傷つけること。自分の使う言葉が 
  それを受け取る人にとって、どんな意味をもつのか考えなければならないこと。
  安易に言葉をならべてはいけないこと。それほどに、言葉は重いこと。

  だから、そして、国語教室で、子どもたちは学ばなければなりません。
  一編の物語を学習材に、言葉が美しい作品世界を創り上げていること。
  言葉の持つ面白さ、楽しさ、不思議さ。
  一編の文章を学習材に、言葉が人間の生の真実を描いていること。
  言葉の持つ巧妙さ、すばらしさ、凄さ。

  だから、どうしても、国語教室で、子どもたちは学ばなければいけません。
  言葉を読む力、言葉を書く力、言葉を話す力、言葉を聞く力。 
  その言葉の力を獲得するということは、人間 としてこの世を生きていくために、
  何よりも必要な力だということ。言葉の力は、生きる力だということ。



 
 永澤講師に誘われて、田村先生と3人で
国語教育の第一人者である二瓶先生・筑波大学付属小学校教諭の
「文章を読み解く力、説明文」の学習法についてお話を伺ってきました。

実際に二瓶先生が5年生の授業で取り上げた説明文をもとに、
「序論」『本論』『結論」(低学年でははじめの大部屋、説明の大部屋、終わりの大部屋という)から成り立つ
文章の構成を読み取り、

その三つの大部屋にどのような意味の段落が書き込まれ、
それぞれの大部屋同士に託された役割を理解し、
全体のまとまりを意識しながら読んでいく「読解法」に引き込まれ、
トークセッションというよりも、一人の生徒になった気持ちでその講義を満喫しました。

「学習として国語の成績を上げる…」これは学生の皆さんにとって最重要課題です。
とくに、読書の経験が少ない中高生にとっては、国語の学習を通じ、大くの良問に触れることが、
一つひとつの言葉を集め、その筆者、作者の伝えたかったこと、要旨について考える絶好の機会となる
時代かもしれません。

よく中高生から「今度、国文法から古典に変わるから国文法しばらくいい…」などの言葉を聞きますが、
学習には、「短期的効果を期待するための学習」と、
       「長期的に深く学び、その分野のみならず、全てにつながる道筋に気付くような
        自分を高めていくための学習」があります。

先月行われたセンター試験の英語問題を、牧野講師と生徒たちが解き進めながら、ただ英語の
文法に精通しているだけでは歯が立たない、文学的な要素、国語力が必要な問題だとうなっていました。

トゥッテイでは国語力を上げるために、私たち教師も知恵を絞り学ばなくては…と考えています。

説明文が読めないのは、読み方に問題がある、伝えたいことがあり、そこに文章が生まれる。
それを読み解く力は、生きていく力にもつながると考えています。

そこで、昨日の講義の資料としていただいた、二瓶先生の「言葉の力」を
皆さんに読んでほしいと思いました。
                                                   田村千春
 
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